中国進出大作戦 ---中国投資に失敗しない方法---
バンブーネットワーク代表神崎憲
第三回 中国ビジネスについて(2)
--合作経営と契約概念について-
94年末から95年にかけての新聞・雑誌は「中国進出の日本企業、制度急変に反
発」(週刊 )
「冷め始めた外資の中国熱」(日経)「中国は危険がいっぱい」等等とりあげ、
中国投資に対し
警告している。しかし、リタ−ンを得るにはリスクは当然発生すると考えてお
くこと。そして
リスクに対して、未然に防ぐ方法を用意しておくこと。危機管理として事後の
対応策を持って
いるかが大事になってくる。
さて直接投資の方法だが前回取り上げた委託加工からさらにすすんで合弁か独
資か、あるいは
合作方式でゆくか選択するわけだが、今回はあまり紹介されることのない、合
作経営について
説明してゆきます。
すべて契約で決めるのが合作
パ−トナ−双方の利益分配、経営方法などすべての取り決めを契約(合議)で
決める形態。
経営する範囲内の材料・製品の輸出入権を持つ。企業所得税は双方別々に支払
う。組織形態は
法人格をとることもできるし、とらなくてもよい。出資金を回収できる。合作
期間満了後の固
定資産は中国側の所有となる。契約で取り決めるので、中国ビジネスに精通し
経験も豊富で、
有利な条件で契約を締結する能力があれば、合作が、合弁よりリスクが少なく
有利となる。
また他の方式に比べ簡便でかつ容易に設立できることから香港の企業が廣東省
のなかでこの方
式をとるケ−スも多い。これは、中国側の土地・建物などを正確に評価する必
要がないことや、
資金の回収が早くできること、解散に際して合弁企業のように役員の全会一致
と関係機関の承
認が必要ないことなどがその理由だ。業種からみると、ホテル・マンショ ン
・オフィスビル
の経営、養殖・水産加工・畜産加工、タクシ−経営などに集中している。
注意すべき点は、中国人は日本人より契約交渉、かけひきが上手であり、粘り
強く本心を出さ
ないので、中国ビジネスについての十分なノウハウがない場合には、失敗する
ことも多い。
また、法的な保証が曖昧なところから、法人化しない場合の出資者責任や中国
側との信頼関係
が壊れると、トラブルが起こった場合に紛糾する例も多くみられる。
合作の設立手続は、パ−トナ−の決定、意向書・FS・契約・定款の作成とい
う流れになる。
この方式を選択する場合は予め専門家とも相談し作戦を練ったうえで契約書を
作成すること。
投資金額や経営規模が小さいからと、たかをくくっていては危険である。
始めよければ終わりよし
ここで中国の契約概念について、注意すべき点を紹介すると、中国は日本のように島国でおな
じ情報や価値観を共有していて、いわゆる腹芸や、暗黙の了解と言った考え方
はない。アメリ
カのように多種多様の価値観や考え方があって、共に生きてゆくにはお互いの
ために全てを一
から念のために確認しておき、誤解や錯覚の生じる余地を出来るだけ少なくし
ておくという考
え方に近い。
契約は分かりきったようなことでも、確認のため、こと細かに規定し曖昧さを
残さないこと。
中国では、『本音と建前を使い分ける人は賢明な人』であり、自分にとって都
合のいい条件は
やかましく言うのに都合の悪い条件は黙っているということがよくある。虫の
いい解釈をされ
ないようにすること。また、契約交渉していると、中国側に都合の悪い要求を
出すと、『法律
に違反するので受けられない』や、『認可基準に合わない』『認可が遅れる』
とか持ち出して
認めないことがあるが、この三つは要求を引っ込めさせる中国側の常套文句な
ので、そう言っ
てきたら、『根拠となる法令・法律の該当する個所を、コピ−でいいから見せ
て下さい』とき
りかえすと、そんな法律は無い場合が多く、相手も日本側の要求を認めざるを
えなくなるので、
有効な交渉術の一つである。さらに、モデル契約書があるが、これも中国の認
可機関向けに作
られているため注意する必要がある。契約書に、法律に定められた必要事項を
記載することは
当然だが、企業の危機管理上必要と考えられることは、必ず記載しておくこと
だ。
要は各企業の個別事情に合わせて考えること。当然分かりきっていることも、
確認のため必ず
契約書に記載すること、契約に記載できない場合は、備忘録や付属書として、
契約書にアタッ
チしておくという周到さが大切になる。このほかに、日本には『同文同種』や
、『一衣帯水』
という言葉があるが、日本の常識は中国で通用しない事の方が多いと考えてお
くこと。
さて、次回は合弁と独資経営について詳しく紹介してゆきます。 (96/10/11)
『中国ミニ知識』
中国の概況
国名 中華人民共和国体制 社会主義人民共和国建国 1949年10月1日(国慶節)
面積 959.7万km2 日本の26倍人口 12億人(1994年末)
主要都市人口(百万人) 北京11.0 大連5.0 天津9.2 青島6.7 上海13.4 廣州7.0 重
慶3.0
成都9.2
首都 北京 北緯40度 秋田・盛岡と同緯度
行政区 22省 5自治区 3直轄市 (北京・天津・上海)
民族 漢民族94%(56の少数民族) 宗教 仏教イスラム教キリスト教
言語 北京語・福建語・廣東語等
通貨 人民元(RMB\) 1RMB\=約J\13
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