中国進出大作戦 ---中国投資に失敗しない方法---

バンブーネットワーク代表神崎憲

第一回 プロローグ

-経済開放へ
-


中国の文化大革命が終息したのは1976年毛沢東が死去し、毛夫人を中心とした4 人組が

逮捕された10月で、その時私は香港から廣州に入り、 毎年春・秋に開かれる 秋期中国輸

出商品交易会に参加していた。

宿舎にしている廣州賓館前の広場は4人組打倒の市民の喜びが爆発し、降りし きる雨の中

パレ−ドが繰り広げられていた。 10年間続いた文化大革命の混乱により、中 国の国民経済

は破綻寸前で、改革しなければ国が破滅してしまう状態にあった。 そんな危 機感を肌に感

じながら中国との商談を進めていた事を思い出す。


その当時の中国商売は友好商社が中心となって中国の特産品や原料の割り当て をもらう

一種の管理貿易が主で、年 2回の廣州交易会が唯一の商談の場であった。中国側窓口

も国営の貿易公司が 8社あって、それぞれ北京に本社のある総公司と各都市に ある地方

組織の分公司が参加していた。

商談は実績を優先して各社ランク付けされ割り当てられた。 このため、昔か ら実績を持つ

友好商社は儲かる商品の割り当て分を受けると、 それを帰国後大手商社にプ レミアをつ

けて売り渡す事ができた。 友好商社になるのも審査があって簡単でなく、例 えば文化大

革命時代に中国を支持した会社や、 中国からの帰国孤児が会社をつくってそ の人脈を

生かして貿易公司にくい込むケ−スが多くみられた。この廣州交易会は今も 4 月15日と

10月15日に会期15日で開催されており中国の総合見本市として中国との取り引 きが初め

ての企業には有益な機会である。 


1978年12月、中国の国会に当たる第11期三中全会で、中国は対内的には農業の 生産

請負制や企業の自主権拡大策の採用により、国内経済の活性化を図り、対外的 には経

済開放政策により外国資本と技術を導入して国の近代化を指向することに踏み きりました。

「農業は大塞に、工業は大慶に学ぶ」という長年のスロ−ガンを捨て、人民公 社も無くす

この方策こそ中国経済の再生の出発点となりました。 また、企業に対しても 大胆に権限

を与えることにより経営者にやる気を起こさせる大きな路線変更となりました 。

1979年7月外国からの積極的な資本技術の導入による国の近代化をはかるため 、中外

合資経営企業法(いわゆる合弁法)が施行されたことを手始めに、 外国企業に 対して税

制上の特典を与えて資本導入を加速させるための加工区として1979年-1980年 には香

港に隣接するシンセン・珠海、 台湾と向き合うアモイ・スワトウの4つの地域 に「経済特区

が設置されました。 香港・台湾の華僑資本を見込んでのこの方策によって、 見渡す限

り一面が田んぼだったシンセンは、その後15年を経て現在外資企業5000社人口 は250

万人を越す大都会にと変貌している。


1984年には大連・秦皇島・天津・煙台・青島・連運港・南通・上海寧波・福州 ・廣州・タン

コウ・北海の14港湾都市の対外開放を指定するなど矢継ぎ早に具体的施策を打 ち出し

ました。そして条件の整っている都市では一区画を「経済技術開発区」と指定し、「経済

特区」に準ずる優遇条件を与えている。例えば大連経済技術開発区は大連政府 の積

極的な誘致運動と港湾・道路・空路・通信・電気・ガス・水道・土地整備など のインフラス

トラクチャ−の整備に力を入れたことで現在日系企業500社以上が進出してお り、シン

セン特区に次いでいる。 中国への投資件数は、1993年は3400件、1994年は3000 件と

一年間でそれ以前の投資件総数以上に飛躍的に外資企業が増えています。日中 投資

促進機構の調査によると1996年上半期までの日本から中国への投資額は、契約 ベ−ス

で中国の対外開放が始まった1979年以来の累計が14350件 245億ドルを越えて います。


これまで中国の経済開放までの道のりを見てきました。この連載では『中国進出大作戦』

題してこれから中国に進出する企業や、既に中国と取り引きしている企業、合 弁会社を設立

したがトラブルが出て困っている企業に有効な作戦を立てて、中国投資に失敗 しない方法

や考え方を紹介してゆきたいと思っています。また私自身25年にわたる中国と の商社活動

を通じて得た情報・ノウハウを公開してゆきたいと思っています。そこでは特 に中国貿易に

携わったことで知ったマル秘の情報も盛り込みたいと思っています。さらに中 小企業事業

団の海外投資アドバイサ−としてこの5年間に150社近くの中小企業の投資 案件にアドバ

イスした中からもケ−ススタデイとして問題点を掲げ、解決方法を具体的に発 表します。


さて、次回からは中国知識として知っていた方がよいと考えられる項目につい て先に紹介

してゆきます。何事も基礎が大切ですので、すこし固い内容の部分も出てくる とは思いま

すが、最終的には失敗のない中国進出ができるまでの内容にするつもりですの でご期待

下さい。 さあ あなたの会社も中国進出の大作戦を立てませんか。(文責: 神崎憲)


『中国ミニ知識』  

中国の8大貿易公司には:

○中国機械進出口公司 ○中国五金鉱産進出口公司

があり輸出入を独占していたが、1984年開放政策後以来、輸出入の権利を持つ 公司は

上記の各支店とそのほか合わせて4000社以上あると言われている。_


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